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時期より日並

第8話【時期より日並】

令和になった。(平成の時もピンッとくるまで数年かかったような記憶があるのでこの新元号に何か違和感を感じる皆さんもご安心を!(笑)) で、初日に何をしていたかと言えば昼はテレビを見、夕方は仲間たちとしゃべりながらたまたま新しくした自分のルアーケースにルアーを入れ替えるという作業。昼のテレビを見て僕にもわずかながらに「新たな時代に向けて気持ちも一新」っという気分にもなったものの、特に何を変えるわけでもなくいつもの日常。そういえば昭和から平成に変わった時も同じような事をしていたような?(笑) 僕は平和主義のごく一般的な国民。わずかな違いは熱心な釣り人ゆえ基本その殆どは魚釣りのことしか頭にないので「ずっと平和な日本でありますように」と日々これだけを願うだけである。

さて釣りの噺。元号(時代)が変わるということはやはりいろいろと大きく何かが変わっていくことは昭和・平成の流れからも想像がつくし実際、釣りを取り巻く環境も様変わりしてきた。多感だった10代から始まった僕のルアー釣りはその後の恐るべしネット社会の影響もあって今ではもはや決してマニアックな遊びではないのだ。「んー、ええんか悪いんか?(笑)」まぁ良しとしましょう(笑)。釣りにしろ大好きな音楽にしろどういう訳か僕は子供のころから「みんなが知って流行っているもの」や「みんなが聴いたり使ったりするもの」には反抗的とも呼べるほど抵抗があってそうではないものを好む傾向にあったので昭和の海のルアー釣りなんぞは正にそんな僕の反抗心の表れのようでその熱心さと言えばもう…(笑) なのでお陰様で今では釣りをして生活をさせていただいている訳ではあるが主流?流行り?とはいえまだまだマニアックさは失う事のない釣りの世界なので僕も信念のある限りは続けられると思っている。そして誰もが知る釣り具メーカー大手のオーナーばりも実はこれまた芯は非常にマニアックであって、だからこそそういった雰囲気もあってとても長いお付き合いをさせていただいてるんだと思う。「釣り師の技に答える」…いいキャッチだと思います。

釣りの進化と釣り場環境の衰退は驚くほど反比例しこの先の不安は拭えないが当事者の僕としてもそうも言っても居られないので日夜新しい何かを模索している。またイノベーター(開拓者)はそっちのけでその後に安く大量に釣具を売ることが進化だと思われてしまっていることははなはだおかしく悲しい限りではあるが「とにかく釣りを大事にしたい」僕としては僕なりにちゃんと次の手を打ってある。「なんだか釣りがつまらなくなった?」っとお嘆きの皆さんはご安心を。この先も楽しくなりますので!
情報が錯綜する現代の釣り事情であるが、モノがどうとか釣り人がどうとかと言うこととは別に色々と様変わりしてきた。つまり「常識が変わってきた」ということ。
海の釣りに関しては「その魚の釣れる時期が変わった?伸びた?ズレた?」っと思うことも多くなって実際今春もその恩恵を受けている。自然現象?もちろんそれもありそう。でも実際は情報の多様化にあると思う。例えば冬場にしか接岸しなかったマイワシの群れが春も岸際から離れず数か月も青物が釣れ続けるとか?水温に左右されやすいアジも気づけばほぼ周年狙えるとか?いわゆる従来の産卵期からはかけ離れたサイズの魚がたくさん釣れたりとか?…これらは正に半分は自然現象、そして半分は釣り人の知識の変化。(実際、釣り人が魚を釣ることでその実績が情報となる訳で…。)


でその釣り人の努力もたいしたもので一つ具体的な例を挙げるとその昔メバル(ルアー)釣りが最初のブームに入り始めた当初はまだ冬から初春のわずか3ヶ月ほどしか存在しなかった釣具店のメバルコーナー。翌年その翌年と売り場のボリュームは大きくなるもののまだまだ超季節限定の釣り。である年、大寒波の影響か冬場のメバルがあまり釣れず夏になっても(ある意味しかたなく)メバルコーナーが残されていてそこで驚いたのは「タケダさん、もうすぐ夏なのにメバルコーナー動いてるんですよ?」っと店員さんの声? イベントなどを通じてお客様と話をしてみると「実は僕、初めて買った釣具がメバルセットでそのほか何にもわからないので年中メバル釣りに行ってます。でもちろん釣れますよ夏も!」…当時の僕は春のメバルラッシュ時にはまだバスも、イカも当然スズキや青物、オフショアの釣りもしっかりしていて「1年で最も忙しい6-7月」というほぼ日替わりで他魚種を狙うという日常であったので7月のメバル釣りと言われても(当時雑誌の企画で「泉南や淡路で夏メバル」ってのをしましたが大遠投&底の釣り+メバルも黒くワカメ臭すぎてビビった(笑))という経験もあって)ついうっかり。その後数年間はおおよそ初冬から翌梅雨ごろまでがメバル時期、そしてその後の近代アジブームも合わさって今では年中メバル&アジングコーナーとして確立しているのが経緯。
そんな渦中にあって、そういえば某瀬戸内方面では8月がメバルのピーク?なんてこともよく耳にしていたことも思い出し納得がいったという…。結果現状でわかってきたことは接岸する魚の釣期は意外に長くまたこれまで言われていた時期的要因に加えて釣果にはあくまで「その週の天候やその日の状況」が大きく影響するということである。

プロフィール…武田栄(たけだ・さかえ)1967年大阪市生まれ
カルティバフィールドテスター /Go-Phish代表/ 釣り研究家
幼少期の釣りからルアーに目覚めバスフィッシングはもちろん、10代の頃よりいち早く海のルアーゲームに精通、その後様々なスタイルを構築。20代では釣りと同じく楽器(ドラム)演奏にも没頭(2000年ビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー)。現在は釣りとともに地元関西の個性派グルーヴァーとしても活躍中。関西最古参SW釣りクラブ会長、老舗ルアーメーカー勤務を経てプライベートブランドGo-Phish(ゴーフィッシュ)を設立。自身の開発アイテムはもちろん様々な釣具メーカーとの企画人気アイテムも多数開発。雑誌メディアでもおなじみ愛称はタケちゃん。その明るい人柄にファンも多い。趣味は「おしゃべり」。合言葉は「ゲームフィッシュは出かたが命!」「楽しくなければ釣りじゃない」

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