第6話【ライトゲームにはバーブレス化を?】
まだ夜こそなかなかの寒さは残るものの日中はすっかり春めいてきたので今年は珍しく解禁直後のアマゴ釣りに出かけたりと関西でもここ数年来なかった「早い春」を感じています。
渓流釣りをする皆さんはお分かりのとおり特にここ関西(大阪近郊部)では解禁日の2日後の楽な入渓場所なんぞ足跡の数もハンパなく少々げんなりとしてしまいますがそこは受け入れてなんとかまだ元気なアマゴを探す釣り。
暖かい薄曇りの朝からゆっくりと出かけ釣り場への通り道にある古い集落の中の釣具屋さんで年券を買うと「今年は大きいのがいっぱい入ってるわーお兄ちゃん!」っとおばちゃん。
ホンマかいな(笑)?と思いながらも少しテンションは上がって午後の2時間ほどの釣りへ。
釣りの準備をしていると無風に加え運よくわずかな小雨も降ってきてなおいい感じにははなったものの案の定、最初なかなかアマゴは見つけられず魚探し。
少し歩きいかにもな大きめの淵で数匹がチェイス、そのわずか上流でこの時期にしては思ったよりも綺麗な関西の春アマゴが釣れてくれてニンマリ。
しばし沢に座りひと息ついて「あー、よかった。また来週?」っと自分に言ってこの日はさっさと帰宅。
さて本題。
久々に早い時期にアマゴも釣ったこともあって今回は小さなトリプルフックの話を!これからの季節は様々な釣りにとっていいシーズンを迎えますから釣りを始めたり、友人を釣りに誘うには「春か秋」です。
で、タケダさん、例年ここからは凪の夜はメバル釣り、そして春の河川のスズキとこちらもピークを迎える磯のヒラスズキ釣り(で合間にアマゴ)!ってな感じですがメバル釣りはここから梅雨にかけてがエキサイティングなマイクロプラッギングの釣りが主。
凪の日にお気に入りの繊細な道具立てで少しだけウェーディングし潮の流れをとりながら時合いを釣る春のプラグメバルは癒し度満点の釣り。
ちょっと言い過ぎかもそれませんが僕の中では春のヒラスズキの群れアタリに匹敵するほど嬉しいものです!
そしてこの時期の主役はメバルにもアマゴにも使う小さなトリプルフック。
古くからトラウトにも本気で取り組むオーナーばりではアイテムも実に多数。
4cmクラスの渓流ミノーにはSTBL-1.56BCやST-26TN。
3cm~7cmのメバルプラッギングにはサビにも強くなったST-36TN、そして最新のタフワイヤー STX-38などが僕のお気に入り。
トラウトはもとよりプラグでメバル釣りを長くされてる方々と話しをすると「やっぱりバーブレスですよね?」っとなるんですがこれがなかなか市場ではすんなりとはいきません。
バーブレスフックについてはこれまでにも数度「バーブレス熱」が盛り上がるようなこともありましたが結局一過性。
やはり一般的には「釣りたい」気持ちが勝つようだし実際僕も磯のヒラスズキ釣りにはルアーによってバーブの有る無しを使い分けます。
バーブの賛否については双方どちらの意見も重々承知しているつもりなので釣り人や釣りに関わるみなさんの様々なご意見は心得てるつもりですがまぁなにぶん自由に書かせていただいてるこのコラムなので今回は僕の都合で!…(笑)
いわゆる#10以下の小さなトリプルフックは当然のごとく線径(ハリの太さ)も繊細になる訳で一般的に言われる「刺さりがいい(当たり前です)」てな話はさておき何せこれら小ばりは「掛かったあとが厄介」。
みなさんも経験ありだと思いますがランディング後はりを外す際にはりが損傷してしまうケース、これが第一。
そしてグローブやウェア、ランディングネットなど不意にバーブにまで引っかかってしまうことが第二の問題。
もちろんジグヘッドもしかり。
僕も以前はちょくちょく通っていたフライの釣りはなおさら…。
軽~く外したいのにバーブがあるおかげでせっかくのウイングポストもペッタンコになってしまってガッカリとか…。
あまりこれらの釣りをしない方には「そんなぁ?」っと言われるかも知れませんが夜に海で立ち込みの釣りなんぞをしている最中にこの様な事が起こると想像以上のイライラが募ります?(笑)
ちなみに「バーブレスフックってバレるんちゃうの?」っとの素朴な疑問にお答えすると、ことメバル釣りにおいてはランディング直前直後以外はまずバレにくいと思います。
ヒットした直後やファイト中にバレるのは浅掛かりにより身切れが主な原因。
これは基本中の基本ですがバーブレスフックで怖いのは「大きく跳ねる魚」。
世界的にも人気のゲームフィッシュはもちろん、国内では僕の経験上シイラやヒラスズキ、ニジマスなどはバレます。(笑)
確かに「バレては困る」という理屈はよーくわかります。
初めて掛かった大物やようやく出たヒラスズキなんかがバレればそれはもう…!
そして少なからず僕にも日々訪れる撮影や取材時などでは「バラす」は基本ご法度…。
確かにどうしてもバレては困る状況や心底落ち込んでしまう痛恨のバラシはなかなかに辛いものではありますが僕も年の功か「まぁしゃーないやろ?」っと思えるのが今の本音。
「そりゃーこれまでいっぱい釣ったからでしょ?」なんて言われそうですけど(確かにそれもあるかな?(笑))、特に僕の場合はほぼリリースが前提なのでなおさらであります。
もちろん大きなマグロやヒラマサを狙うのにバーブレスとは言ってませんので!あくまで小型魚の数釣りにおいては是非バーブレス化をというのが僕の希望です。
まぁしかし、極力無駄を省くという風潮の今の世の中ではいくら釣り人に優しいオーナーばりと言えどすべてのはりにバーブの有無というのは現実的にはあり得ませんので!
…という訳で、ことライトゲームに関してだけは一度「民意(釣り人)に問う」ということもお願いしたいかなと?(笑)一度ご検討いただきたいものであります。
プロフィール…武田栄(たけだ・さかえ)1967年大阪市生まれ
カルティバフィールドテスター /Go-Phish代表/ 釣り研究家
幼少期の釣りからルアーに目覚めバスフィッシングはもちろん、10代の頃よりいち早く海のルアーゲームに精通、その後様々なスタイルを構築。20代では釣りと同じく楽器(ドラム)演奏にも没頭(2000年ビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー)。現在は釣りとともに地元関西の個性派グルーヴァーとしても活躍中。関西最古参SW釣りクラブ会長、老舗ルアーメーカー勤務を経てプライベートブランドGo-Phish(ゴーフィッシュ)を設立。自身の開発アイテムはもちろん様々な釣具メーカーとの企画人気アイテムも多数開発。雑誌メディアでもおなじみ愛称はタケちゃん。その明るい人柄にファンも多い。趣味は「おしゃべり」。合言葉は「ゲームフィッシュは出かたが命!」「楽しくなければ釣りじゃない」