第4話【スズキ釣りが面白い理由】
今年はありがたいことに、毎年秋に九州は熊本で開催されるスズキ釣りのイベント=シーバスパーティーへお誘いいただきました。秋も深まる週末の午後から各自エントリーカードを持って翌朝までの釣り大会、翌日曜日の午後からは県内の立派な屋内展示会場で我がオーナーばりはもちろん、総合メーカーや全国有数のシーバスメーカー各社がブース出展をし表彰や各種イベントとともに大会参加者や一般の釣り人の皆さんどうしが一日ゆっくり釣りのことやルアーのこと、タックルやスタイルのことなどについて意見を交わし交流するという日。両日とも秋晴れという天候にも恵まれた今回も大盛況となりました。
主となるスズキ釣り大会の方は362名がエントリーし見事スズキを釣り上げたのは74人(釣行時エントリーカードと共に釣り場で撮影したスズキの写真にて確認)でしたが驚くべきはそのサイズ!90cmUPが6本!そして80cmUPが20本!…と一夜にして驚愕の釣果!(思わず往年の狩野川や昭和最後の神戸港や淡路島、加太なんかを思い出しました!でもここまでは釣れんかったなぁー(笑) 「凄いなしかし?」っと感心していると…「でもこれでもいつもよりは少ないです!」っと参加者からのひと言。…恐るべし「火の国 熊本」であります!
そもそもここ熊本はまだ九州ではまだまったくと言うほどルアーフィッシングが浸透していなかった時代にあって最も早くからルアーでのスズキ釣りが開拓されたエリア。(いいですか皆さん、情報など皆無の時代から各地で一から開拓をしたごくわずかな精鋭の釣り人の皆さんのお陰なんです今の僕たちの釣りは!)思えば昭和から平成へと変わる頃のあの懐かしの「ALL JAPAN SEABASS PARTY」の初期から(当時若干20代の僕も第4回か第7回あたりは大阪会場で司会をしてましたのでよーく覚えてます(笑))房総・静岡・紀伊半島・大阪などと並んでここ熊本は当時の紙面を賑わせた場所であります。
基本、大型のマルスズキを狙って釣るのなら一部の特殊なエリアは別としてハイシーズンの夜の河川や内湾のサーフエリアとなりますが、最大潮位差4mを超えるここ熊本は巨アユでも有名、水量豊富な大河川が続きさらにその南西部には大きな入り江やいくつもの海況筋を有する天草半島といういかにもランカースズキ保有のスーパーエリア!もちろん釣果へ繋げるには地道な下調べと釣行のタイミングがありきですがその各エリアに80cmクラスの群れアタリがあるという正に夢のような場所。秋のベイトは主にアユそしてコノシロなど。そしてここ熊本では30年以上前の初期から現在に至るまで一貫して変わらず大型のフローティングミノー(140mm以上クラス)が主戦力。さらには僕にも嬉しいことに熊本の大型スズキ狙いの一番のミノーは僕も愛用するK2F142(K-TENセカンドジェネレーション=次世代K-TEN!)。このK2Fを主軸にキャリア30年を超えるベテランから今回初めてスズキを狙うビギナーまでがエントリーします。
大型のフローティングミノーを使う理由は? 「魚が大きいから?」「ベイトが大きいから?」今のシーバスアングラーなら賢く必然的にそういう理由からかと察しますが、いえいえそんなことはもちろん、まずは何より「いいか、デカいスズキはこう釣るんだ!」というその歴史が育んだ地元共通の認識と心意気がそこにはあります! 抜群のサイズと釣果はもちろん、僕の思う「王道のスズキ釣りの本来の姿」がここにはしっかりと根付いています。何と素晴らしいことでしょうか!
今ではそれこそ超大型スズキは望めなくなった都市部周辺エリアや僕の住む大阪南部エリアですが、「関西スズキ釣り発祥場所のひとつ」として今も僕はその王道を貫いています「風表のミノーイングスズキ」。だから僕は未だに特に秋冬に釣るスズキはシーバスとは呼ばずあくまで「スズキ釣り」。今年も秋が深まりその後海が荒れだすと「僕のマルスズキ釣り」も本格始動。濁れば川へ!荒れればサーフや小磯へ!僕や仲間たちの最も心動く季節。春秋の日中の磯のヒラスズキ釣りと合わせてこの「秋冬のマルスズキ釣り」は僕には切っても切り離せない釣り。今現在主流となっている港湾や河川を主体とした釣り(僕は風裏の釣りと呼んでいます。)そしてそれ以前のスズキ釣りを称した元祖ミノープラッギングの世界=「風表の釣り」。どちらをするにせよ今回の熊本での話からもスズキ釣り(シーバス)についてだけは「ただただ釣るだけの釣りではない」と言うことだけは皆さんにもお分かりいただけたかも知れません? 「狙った魚にどうかかわるか?」カッコよすぎるセリフの様ではありますが一度でも地磯のヒラスズキやこの秋冬の大型マルスズキの釣りを経験すればおのずとわかるはずです。とてつもなく記憶に残る釣り、一枚の写真が大きく物語る釣り…。「自分の信念を貫く釣り」、「これで釣りたい」とルアーを選び「こんな風に釣りたい」とタックやウェアを選び心の底から狙った一匹と満足する釣り。釣りあげた瞬間に体が震える釣り!
一般化し一見誰もが楽しめるようになったスズキ釣り。一方、他の釣りものには決して代えがたい釣りのスタイル。…スズキ釣りにはこの根底があります。だから僕も外せない釣り。あくまでわがままにストイックに、自由に慢心する釣り。
こだわりのかたまりのスズキ釣り、そしていかに効率よく釣るかを徹底的に考えるSWライトゲームの釣り。この反復・反作用こそが僕の釣り。タケダさんの釣りの世界は果てしなく深く広いのであります!(笑)こだわりの釣り(センスも必要です!)これが無ければ決してルアー釣りは長続きなどしませんので!そしてもちろん言うまでもなく、後悔しないためにもスズキ釣りにはカルティバSTシリーズ、STXシリーズをお忘れなく。…という訳で完全にちょっとウルッときた今回の熊本でした。
プロフィール…武田栄(たけだ・さかえ)1967年大阪市生まれ
カルティバフィールドテスター /Go-Phish代表/ 釣り研究家
幼少期の釣りからルアーに目覚めバスフィッシングはもちろん、10代の頃よりいち早く海のルアーゲームに精通、その後様々なスタイルを構築。20代では釣りと同じく楽器(ドラム)演奏にも没頭(2000年ビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー)。現在は釣りとともに地元関西の個性派グルーヴァーとしても活躍中。関西最古参SW釣りクラブ会長、老舗ルアーメーカー勤務を経てプライベートブランドGo-Phish(ゴーフィッシュ)を設立。自身の開発アイテムはもちろん様々な釣具メーカーとの企画人気アイテムも多数開発。雑誌メディアでもおなじみ愛称はタケちゃん。その明るい人柄にファンも多い。趣味は「おしゃべり」。合言葉は「ゲームフィッシュは出かたが命!」「楽しくなければ釣りじゃない」